すけすけのマイル乞食

ANAマイルを貯め、パスポート1冊目がスタンプで埋まった陸マイラー兼医師のブログ

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「JAL DOCTOR 登録制度」と「ANA Doctor on board」と「善きサマリア人の法」

飛行機内でドクターコール。医師はどうする???

JAL DOCTOR 登録制度」と「ANA Doctor on board

この2つに関して、医師の立場としての見え方を記事にしたいと思います。

どちらも、機内での急病患者対応時の医師登録制度です。どちらも2016年に始まった制度で新しいものです。自分のブログのネタにしないわけにはいきません笑。

ANAマイラーなので、ANAの方のリンクだけ貼っておきます笑。

www.ana.co.jp

 

 医師が機内に搭乗している可能性は???

まず、日本には医師は30万人ほどいます。10万人あたり250人ほど。400人に1人が医師と言うことになります。

400人乗りの飛行機なら平均1人は医師が乗っているということになります。ちなみに16両編成の新幹線のぞみは1300人ほど乗客が乗っているので、平均3人強の医師が乗っている計算になります。 

航空会社側の視点

実際に急病患者が機内で出た時に、対応できる医師がいるのかどうか事前にわかっているということは、本当に助かると思います。デメリットはほぼないと思います。また、世間に対するアピール、広告としても一定の効果があると思います。JALが発表した直後にANAも発表したので、アピールにしているのは間違いないです。 

医師側として

現実的に考えて、どのくらいの医師が登録するのかというと、、、周りの医師15人に聞いてみたところ、登録希望者は0人でした、、、。悲しいですが、現実です。

①メリット

②デメリット

を考えてみました。

 

①メリット

こんな話をすると、医師が人命を救助する際にメリットがあるかどうか考えるな!!!とか言われそうです。が、現実的に医師に人命救助が簡単にできるわけはありません。今の医学はかなり細分化されており、自分の専門科以外のことを診断したりするのはほぼ不可能でしょう。眼科医が、胸の痛い患者に対して何ができるでしょうか??泌尿器科医が、意識を失った患者に対して何ができるでしょうか??

救急科と言って、急病患者専門の科も存在はしていますが、日本に4000人程度しかいないと言われています。医師が100人いても、救命医は1人しかいない割合になります。その特殊な科に所属している医師は、普段から急患を診る訓練をしている医師ですが、他の99人は自分の専門科以外のことはそれほどわからないというのが現実です。なので、メリットがないと動かない?動けない?医師が多いのが現実的だと思います。

さて、メリットですが

JAL:「サクララウンジ」利用

ANA:特になし

となってます。

JALもちっちゃなメリット出してきましたね笑。これなら、まだANAみたいにメリットなしの方が、医師の善意にまかせますと言うイメージが伝わってきてスッキリしますいずれにせよ、現時点では医師にはメリットはそれほどなく、登録は善意でしてもらうという印象を受けます。

(ただし、これは表の書き方で、実は軽い謝礼が出るとの噂です。登録時に3000マイル、実際に対応した際に3000マイルみたいな感じで。噂ですよ。)

 

②デメリット「善きサマリア人の法」

先ほども書きましたが、実際に急病患者の前で医師ができることはあまりないです。目の前で胸を痛がっている患者がいたとしても、例え循環器内科の医師でも、心電図や超音波、採血ができない状況で心筋梗塞かどうかの判断なんてまずできません(できますよって循環器内科の医師が多数いたら申し訳ありません。自分の周囲の循環器内科医に聞いたところ診断は困難とのことでした。)。医学は、かなり進歩しています。進歩している分だけ深くなっており、その場で何も揃ってない状況で判断しろというのは医師にはとって酷な話です。

先日の麻疹の記事にも書きましたが、医師が診断を確実に行うのが困難な状況って多々あるんです。

www.sukesuke-mile-kojiki.net

 

 つまり、医師が機内で急病患者対応時に論点とするのは、故意でなければ間違った判断をしてもいいのかどうか。この一点につきます。

アメリカには「善きサマリア人の法」というものが立法化されています。

「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という法です。

善きサマリア人の法 - Wikipedia

日本は残念ながら、これが立法化されていません。

つまり、間違った判断をしたら、医師の責任になる可能性があるということです。これは本当に酷な話です。

ちなみに、JALもANAも、

「医療行為を受けたお客さまに対し民事上の損害賠償責任が生じた場合には、故意、重過失の場合を除き、当社が付保する損害賠償責任保険を適用」

とは言っていますがどこまで責任を持ってくれるのか不明です。

 

さらにデメリットは、この制度への登録が面倒なんです。

特にJAL。医師資格証と言うものを持っていないといけません。

f:id:bmwtatsu:20160731214228p:image

これ自分は持ってないです。何のために存在しているか不明なカードで、自分の周りに持ってる人はいませんでした。まず、発行するのにお金がかかるんですよ。(カードマニアな自分は少し興味持ちましたけどね笑。)JALの医師登録しようとすると、金銭的負担まで医師にあります笑。

ANAは医師免許証だけで登録できるようです。医師免許証は、国が発行するものです。賞状のような形式のものです。これは医師国家試験に合格すると全員もらえるので、医師なら必ず持っています。

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まずは法整備を

現段階としては、JALもANAも企業努力をしている姿勢は感じるが、現実的にこの制度が十分に活用される場面があるのか疑問です。今の段階では急病患者が出た時点で、「お医者様はおりませんか?」と機内にドクターコールをする方が圧倒的に効果的だと思います。

ただ、企業として制度の制定というスタートを切ったことは非常にいいことだと思います。これを機に、国内において「善きサマリア人の法」を制定するような流れに繋がれば素晴らしいと思います。自分が死ぬまでに、この法律が立法化される日が来るのか期待しながら待ちたいと思います。

現実的にメリット提供をしては??

少し生々しい話ですが、医師も所詮人間です。働いた人に対価を払うのは当然でしょう。機内でトイレが壊れたときに、たまたま機内にトイレ修理のスペシャリストがいて直していただいたら、航空会社はしっかりと対価を払うべきではないでしょうかね。医師の仕事だけを別扱いして扱うのはどうなんでしょうか。

そして、メリットがあれば動く人間も増えるのが現実なんです。

例えば、登録医師には、上級会員を提供してみてはどうでしょうか?JALのサファイア、ANAのプラチナクラスあたり。自分の周りの医師には聞いたところ、これなら登録する人出てくるという印象でした。まぁ、医師を餌で釣って患者に対応させるってのも少し変な話な気もしますけどね。

もしくははっきりと医師の善意で登録お願いします、報酬等はありませんってしっかり明記ほしいですね。

 

医師が患者に対応する理由は二つだと思っています。

①目の前に苦しんでいる人がいるから

②仕事として給料をもらっているから

なので、はっきりと「急病患者へ、医師からの善意での対応お願いします。」もしくは「報酬等もあります。」と明記すると制度も動き出すと個人的に思うのです。

 

とりあえず、「善きサマリア人の法」の制定をして下さい。でないと、この話はなかなか進みません。